ニートが好きだね?

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昨日と違うニートになる。頭はたくさん動かした。手の動くままにやってみるよ。

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『ロスト・メモリー』の怪物から復讐を学ぶ

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復讐は忘れた頃にやってくる映画

『ロスト・メモリー』のある怪物から復讐を学びました。ドイツの映画です。この記事は※ネタバレがあります注意してください。基本的には偶然再会した幼馴染と昔遊んでいた島にバカンスで訪れるうちに忘れていた記憶を思い出しハンナが事件に巻き込まれていく話になります。

復讐とFehde

とりあえず「復讐」という言葉を調べてみました。

自らの利益を侵害された個人や団体が、その報復として加害者に対し害悪を加えること。復讐は復讐感情ともよびうる原始的な本能に根ざすものではあるが、歴史的には、無法な攻撃を防止したり、被侵害者の権威を維持・回復する手段でもあった。
フェーデFehde(ドイツ語)の伝統をもつゲルマン社会では、古くは、個人または公の利益を侵害する者に対する部族Sippeによる組織的な復讐が宗教的な信仰になり、制度としても確立していた。

復讐(フクシュウ)とは - コトバンク より引用

なんかドイツ語とかゲルマン社会の話が出てきている。この映画もドイツ映画だけど偶然なのだろうかもう少しくわしく調べてみようというわけで上に出てきたフェーデについて調べてみました。

フェーデ(ドイツ語: Fehde)とは、歴史学における法学的意味での自力救済を指す用語。中世では自己の権利を侵害された者はジッペや友人の助力を得て、侵害した者に対して自ら措置を講ずることができた。これは原始的な血族単位での報復である血讐を中世法に適合的なように改めたもので、中世法では身代金を積むことでフェーデによる暴力を避けることができた。

フェーデ - Wikipedia より引用

やられたら組織的にやり返すという歴史があったみたいですね。いろんな国に似たようなものはあると思いますが今回はドイツの映画だったのでここを取り上げてみました。それでは映画の話に行きます。

幼馴染との再会そして島へ

ハンナは医師として働いていました。そこにクラリッサという女性が睡眠薬の服用で倒れて担ぎ込まれてきます。ハンナは女性の名前を見て気づきました。

病院のベッドの上で目を覚ましたクラリッサはそこでハンナと25年ぶりに再会します。結婚生活がなかなかうまくいっていかなかったハンナはクラリッサに相談します。

そんな流れからハンナ、クラリッサ、ハンナの娘のレアの3人は気分をリフレッシュするために子供の頃一緒に遊んだ島へバカンスに出発します。

島に着いて徐々に子供の頃の記憶が蘇り始めます。しかしなんとなくその島には違和感があります。不気味というか秘密というか。そして泊まる家でティムという男性に出会います。

1日目 マリア

夕飯の魚を買いに来た鮮魚店でガブリエラというおばあさんに出会います。そして魚を買って帰ろうと店を出るとマーコスという男性とぶつかってしまいました。彼との会話の中でこんなシーンがありました。20分くらいのシーンです。

マーコス「前にも来た?」

ハンナ「8才か9才の頃までは毎年来てた」

マーコス「なぜ それ以来?」

ハンナ「分からないわ」

マーコス「僕はずっとここで暮らす」

ハンナ「寂しい場所なのに?」

映画『ロスト・メモリー』より引用

昔は毎年訪れていたことが分かりますが来なくなってしまった理由は忘れてしまったようです。マーコスと話しているところをクラリッサに目撃されたハンナはもう彼氏ができたのとからかわれます。

そして夜、ハンナとクラリッサはお酒を飲みながら昔のアルバムを眺めてある少女の話をします。

ハンナ「この子は誰?」

クラリッサ「マジな質問?」

ハンナ「本当に知らないの」

クラリッサ「マリアよ ほら 一緒に遊んだ島の子 よく窓に小石を投げて呼びに来た 私は忘れてなくて嬉しい」

映画『ロスト・メモリー』より引用

マリアのことを思い出せずに外でタバコを吸っていると急にティムが現れて「さっさと帰れ」と忠告をして帰ります。 しかしハンナにはそれが何故だかわかりませんでした。

2日目 ガブリエラとマリア

夢から覚めると1枚の絵が置かれていました。レアは私の絵ではないと言います。不思議に思いながらも今日の予定を決めながら前日にレアが鮮魚店に人形を忘れてしまったのでハンナは取りに行くため訪れるのです。

しかしお店には魚を売ってくれたガブリエラの姿が見当たりません。店の奥に進むにつれて昔の記憶が少し蘇ります。そして2階へとハンナは上がっていくとそこには子供部屋がありました。

そこに飾られていたのはたくさんの絵と置かれていた1つのブレスレット。絵には「HANNA」「MARIA」とそれぞれの女の子の下に文字が書かれていました。そしてあることを思い出します。

「マリアとハンナは世界一の親友である」という記憶です。そんなことを思い出していると後ろからおばあさんに肩をさわられて我に返ります。娘の人形を返してもらって腕につけていたブレスレットを外そうとするとガブリエラにそれは「あなたの物」と言われます。

そしてハンナはマリアのことを思い出そうと行動し始めるのです。この日マーコスに尋ねたハンナはあることを教えてもらいます。

マーコス「マリアって子は魚屋のガブリエラの娘 子供の頃 死んだ 胸が痛む 親しかったの?」

映画『ロスト・メモリー』より引用

親友のマリアは子供の頃に死んでいたことを知るハンナは何故忘れていたのだろうというような気持ちを抱えながら戻ります。帰り道にあることを思い出します。「廃墟で怪談話をした」という記憶です。

その日の夜マリアのことをクラリッサに聞きましたが彼女が死んだ理由はわかりませんでした。

3日目 マーコスとマリア

朝目覚めると窓にひびが入っていました、まるでマリアが呼びに来たかのように。そしてジョギング中マーコスを見かけて話を聞きに行きます。彼はこんなことを教えてくれました。

マーコス「まるで神隠しのようで 失踪とされた

ハンナ「行方不明?」

マーコス「ああ 海で溺れたとか 君達の隣の家に住むティムを疑う者もいる 孤独に暮らしてるから疑われやすい」

映画『ロスト・メモリー』より引用

マーコスもマリアのことを知っていましたが子供の頃のことでよく覚えていないとのことでした。そして遺体が見つかっていないからガブリエラは諦めきれていないと。

夜中目を覚ましたハンナは少女をを見かけます。そして娘の名前を呼んでも返事がなく探しに地下室に降りた時あることを思い出します。「マリアと何かの約束をした」という記憶です。

4日目 クラリッサとマリア

その日ハンナは夜中のことで怯えていました。そして睡眠薬を探しますが空になった薬を見て自分がいつの間にか睡眠薬に依存していることに気づきます。

クラリッサとレアはともに海辺で遊んでいました。そんな中クラリッサが指で虫を潰すのを見てレアは何かを察知します。そしてふとクラリッサが目を向けた先にはある少女が立っていました。

帰ってきたハンナはクラリッサに昔どんな事件があったのか聞きます。そしてあることを思い出します。「クラリッサと『誰にも言わないで忘れる』と話した」という記憶です。

そしてハンナは隣の家のティムの元を訪ねます。彼は無言で家に招き入れました。そして「大変なことになる」と忠告されます。その帰り道また少女を見かけます。追いかけた先は昔、クラリッサと怪談話をしながら入り込んだ穴でした。その場所であることを思い出します。「マリアは穴に落ちた」という記憶です。そしてハンナはマリアの亡霊がこの島には居ると。

5日目 繋がりだす記憶

朝食の準備をしながら次の船で帰ることをハンナはクラリッサに伝えます。この雰囲気の場所から娘をつれて早く出たかったのです。

そして船場に向かう途中で鮮魚店に寄ります。ガブリエラにマリアの遺体のお場所に心当たりがあり場所を伝えるとあることを言われます。

カブリエラ「お前の悪ふざけだ 今度はあの子の番」

映画『ロスト・メモリー』より引用

船着き場には「本日休航」の看板が。夫は電話に出ません。困ったハンナはマーコスのもとを訪ねます。そして船が故障していること翌日まで帰れないことを伝えます。そして最後に意味深なことを言います。

マーコス「ハンナ 仕方ないんだ  彼女の思いだから 彼女の怒りだ」 

ハンナ「彼女って?」

映画『ロスト・メモリー』より引用

そしてあることを思い出します。「マーコスがマリアの妹であり過去に居場所を伝えていた」という記憶です。その夜クラリッサにマーコスのことを話します。

6日目 そして真実へ

携帯をなくし電話をかけるため外に出るとマーコスが1枚の絵と共に船着き場で死体で発見され人が集まっているのを目撃します。ガブリエラは悲しみの中こちらを眺めるハンナに気づきます。その表情は「憎しみ」そのものでした。

電話は繋がらず戻るとレアがティムにさらわれたとクラリッサに言われます。ティムがクラリッサの首を絞めて背中を向けた際ハンナはティムを斧で切りつけました。倒れ間際ティムはハンナを突き飛ばし気絶します。

そんな中クラリッサは家のなかである子供を捕まえます。その子はクラリッサを「ママ」と呼んでいました。

目を覚ましたハンナはそこにガブリエラが居ることに気づきます。そして全ての計画を知るのです。ガブリエラは娘を怪物に変えたハンナを同じ目に合わせたいほど憎んでいましたがハンナの娘に罪はないことを理由に戸惑いをみせます。そしてガブリエラはママに叩かれ泣きながら現れた孫娘を抱きしめながらもう芝居をやめることを決めます。

例の穴の場所にたどり着いたハンナはそこでマリアと会います。そして全ての記憶を思い出すのです。

マリアは世界一の親友に置いてかれ忘れられたマリアは救助されるも恐怖で精神を壊されずっと入院生活をすることになり看護師に妊娠させられ母親ガブリエラは世間体を気にしてマリアを死んだことにしました。復讐心だけが彼女の生きる力だったのです。

計画を達成するために本物のクラリッサ、弟のマーコス、真実を知るティムは殺されたのです。そしてその復讐の対象はハンナの娘に向けられました。そしてレアを救おうとしたハンナはマリアによって穴に閉じ込められます。

そして現実へ

目を覚ますとそこは病院でした。目の前には夫のヨハネスが居てレアは無事であることを知ります。しかしティムを殺した犯人にされ娘に睡眠薬を飲ませて穴に飛び込みクラリッサが助けたことになっていたのです。

ヨハネスとクラリッサが共に住むようになりレアの表情はマリアと同じ、復讐の心に満ち溢れた怪物になっていました。

学んだことと書きたいこと

最初に書いた通り復讐といっても主にマリアによる復讐でしたが家族全体が関わっていた計画という意味では組織的な復讐に近いなと感じました。

しかし冷静に考えるとマリアは人生を壊されたという理由で、ガブリエラは娘を怪物に変えられたという理由でありたまたま対象がハンナで一致していただけで理由は個人ごとに異なっている様に感じました。

ガブリエラやマリアの娘、マーコスは計画に参加させられながらも最後には理性が働いている様に感じましたがマリアの復讐心の強さは理性を超えていたということだと思います。

ティムは本当に守ろうとしましたが過去に告げ口したら自分のせいにされることで黙っていた経緯がありそれはマリアの復讐にとって死に値するものだったのでしょう。

今まで勝手に復讐は1:1によるものという先入観を持っていましたが1:組織という形もあるということを学びました。

そしてレアという怪物が誕生し復讐は次の復讐を生むという連鎖は止められないということも学びました。

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ロスト・メモリー(字幕版)

予告編はこちら

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