『幸せなひとりぼっち』のオーヴェから自分を貫くことを学ぶ
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孤独で偏屈なおじさんが自分を貫いて生きる映画
『幸せなひとりぼっち』のオーヴェから自分を貫くことを学びました。スウェーデンの映画です。この記事は※ネタバレがあります注意してください。基本的には口うるさい老人として近所から嫌われている老人が妻と職を失い生きる希望をなくし妻を追いかけるため自殺を試みるもいろんな形で邪魔をされて生きていく中で心境に変化が生まれてくる話です。
周りから見たオーヴェ
オーヴェは近所から煙たがられる存在でした。それは彼の性格がひねくれている様に見えるからです。具体的にはゴミの分別にうるさかったり規則は絶対に破らない、犬のトイレにうるさく映画中に何度も周囲の人間を“バカども”と見下すことがあります。
冒頭の車列のなかで唯一彼の車が違う道に曲がるシーンはそんな彼のはみ出し者さを感じました。
4回にわたる自殺未遂と走馬灯
映画においてオーヴェは自殺未遂を何回も起こします。
オーヴェ「最後の瞬間 脳の処理速度は上がり 現実世界がスローで見えると言う」
映画『幸せなひとりぼっち』より引用
- 首吊り(母を想い出す)
- 車内での一酸化炭素中毒(父を想い出す)
- 駅のホームから電車への飛び込み(幼い頃の自分を想い出す)
- 銃(妻とお腹の子を想い出す)
自殺未遂を通して彼は自分を振り返っていきます。
生き方を決めた瞬間
幼少の頃父の同僚とトラブルがありました。そして父の死後、その同僚によりまたトラブルに巻き込まれます。父はもういないとからかわれながらもその際オーヴェは屈しず立ち向かうのです。父のように正直にまっすぐ生きたいと心に決めた瞬間のように思いました。
オーヴェの運命の捉え方と白シャツ
37分くらいのシーンです。隣人の火事により自分の家が燃えてしまいます。
オーヴェ「“運命とは人の愚行の積み重ね”と言う それが本当なら私の運命は隣人の愚行の結果と言える」
映画『幸せなひとりぼっち』より引用
彼は正直に生きながらもいつも「自分」らしく生きることに邪魔をされます。そして彼はその邪魔する存在を“白シャツ”と呼んでいました。
名前を名乗らず所属だけ言う人達、つまり「自分」を持たない者達によって自分の運命はいつも邪魔されているのだとオーヴェは感じていたのです。
妻ソーニャの存在
そんなオーヴェも嘘をついた瞬間がありました、自分の職を偽ったのです。ソーニャとのレストランでの一言がオーヴェの性格を物語ってくれていました。45分くらいのシーンです。
ソーニャ「それだけでいいの?」
オーヴェ「食べてきた」
ソーニャ「どうして?」
オーヴェ「君が好きなものを注文できるように」
映画『幸せなひとりぼっち』より引用
ですがやはり全て正直に話します。軍に所属しているのではなく列車の清掃係であると。そんな真っ直ぐな彼に惹かれて2人は結婚します。妻ソーニャはオーヴェにとって唯一の理解者だったのです。
変わりだすオーヴェと変わりだす近所
近所の人に巻き込まれていく中で良い意味で彼にとっての「普通」がみんなにとっての「特別」になっていくのです。そして近所の人との会話のなかで気づきを得ます。
パルヴァネ「何よ それ 私を励ましてくれた人がただ座って自分を憐れむわけ?“周りはバカばかり”と そして諦める 解決できるのは地球上で自分だけだから でも1人で何もかも解決はできない あなたでも」
映画『幸せなひとりぼっち』より引用
オーヴェは「自分の中の普通」ができない人間や“白シャツ”を一方的にバカにしたり問題児としてみてきました。
つまり自分で解決できなければ誰にもできないだろうと諦めるのです。僕にはこの時までオーヴェは「自分の中の普通」ができない人間と運命を邪魔する“白シャツ”を“バカども”というくくりで同一視していたように感じました。
そんな彼にパルヴァネは1人で全て解決できる万能な人なんかいない、みんなとなら何かできなかったことができるかもしれないと気づかせるのです。
そして彼はついに心を開くのです。そしてみんなの力で“白シャツ”を追い返します。
つまり自分にも解決できないことがあると受け入れることは近所の人と自分は変わらないのだ、少し出来ることが多いだけで万能ではないと気づくのです。そして彼の想いは近所の人にしっかり引き継がれていきました。
学んだことと書きたいこと
人生の最期まで彼は自分の生き方を貫いていました。
しかし何故煙たがれていた彼があそこまで慕われる人になったのでしょうか。
変わったのは一方的に自分の生き方を押し付けるのではなく心を開いたことです。
そして芯は変わらずに心を開いていく彼に周囲は自然とついてくるようになりました。
つまりただの偏屈者になのるではなく心を開いたうえで自分の生き方をしていくことが「幸せなひとりぼっち」な生き方なのでしょう。ただ押し付けているだけでは「寂しいひとりぼっち」な生き方になってしまうということです。
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