ニートが好きだね?

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昨日と違うニートになる。頭はたくさん動かした。手の動くままにやってみるよ。

ニートが好きだね?

『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』のクリシュナマチャリアからヨガの歴史を学ぶ【完結】

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インドで近代ヨガのルーツを学べる映画

前回の続きになります『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』のクリシュナマチャリアとその子供、弟子からヨガの歴史を学びました。ドイツとインドの映画です。この記事は※ネタバレがあります注意してください。

 『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』のクリシュナマチャリアからヨガの歴史を学ぶ【第1回】 - ニートが好きだね?から読むと流れが分かりやすいと思いますので良かったらどうぞ。

前回の簡単なまとめと弟子についての補足

 今回は主にクリシュナマチャリアとその弟子達について学んでいきました。1930年代に基盤を作っていったことは分かりましたし当時にはヨガに対しての偏見があったことも知れました。

『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』のクリシュナマチャリアからヨガの歴史を学ぶ【第1回】 - ニートが好きだね?  より引用

  • 1930年代クリシュナマチャリアによって現代ヨガの基礎が作られた
  • 当時はヨガに対して世間の偏見があったり実践は軽んじてみられていた
  • 弟子たちによって新しい流派が生まれてきた

簡単にまとめるとだいたいこんな感じになります。また弟子について少し補足をしておきます。クリシュナマチャリアと弟子の関係の整理です。

  • 最初の弟子パタビジョイス 1927年
  • アイアンガーが弟子入り  1934年
  • デーヴィー        1947年

弟子デーヴィー氏 アメリカにヨガをもたらした1人

デーヴィー氏については前回触れていないので少し説明します。

Eugenie Peterson (Latvian: Eiženija Pētersone, Russian: Евгения Васильевна Петерсон; May 12, 1899 – April 25, 2002),[2] known as Indra Devi, was a pioneering teacher of yoga as exercise and an early disciple of the "father of modern yoga",[3] Tirumalai Krishnamacharya. Her popularization of yoga in America through her many celebrity pupils in Hollywood, and her books advocating yoga for stress relief, earned her the nickname "first lady of yoga".

Indra Devi - Wikipedia より引用

ロシア人の女性の方でインドで弟子入りした後ハリウッドでヨガを教えるなどヨガの普及に貢献した人物です。

弟子の時系列の整理が済んだのでようやく次に進みます、何故これを書いたのかはもう少しすると分かります。今回はクリシュナマチャリアの子供にあたる方々から学んで書いていこうと思います。

クリシュナマチャリア氏の妻と子供達

登場人物が多くてちょっと複雑なのでなるべく丁寧に書いてみようと思ったのですが画像のほうが分かりやすいと思うので作ってきました。

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制作すろまる (参考資料)映画『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』

子供は6人、男女3人ずつみたいです。名前が長いので上のような形になりました。そして子供達全員クリシュナマチャリアからヨガを学んでいたのです。

三男シリーバシャム氏 新しいヨガの方式ヴィンヤサ・クラマ

1934年に当時の王クリシュナ・ラージャ4世は道場を設置し自らも指導を受けました。“アラスーの男子”のために作ったと管理報告書に残っているそうです。アラスーとは王族が属していたコミュニティーのことで練習は夕方に行われ多いときは100人もの人が集まったそうです。朝は王が練習する時間だったため他の者は夕方に練習したのです。

クリシュナ・ラージャ4世 - Wikipedia(参考サイト)

彼の話によると王は親族の身体能力を高めたいと考えるようになり王族が戦いに備えるために訓練が必要だと判断しました。1930年代はインドが独立する間近です。英国軍との間に問題を抱えていてインド全土が警戒態勢の中にありました。詳しいことはリンク先のイギリス統治時代からインド独立までのところを調べてください。ここでは割愛します。

インド - Wikipedia (参考サイト)

それが新しいヨガが生まれたきっかけであり父クリシュナマチャリアはそれまでの方式を変えたと言います。クリシュナマチャリアはこれまでの方式のものから動きを速くより高度なものにしました。その方式を「ヴィンヤサ・クラマ」と名付けました。

クリシュナマチャリアの著書『ヨーガ・マカランダ』についても説明していました。

Yoga Makaranda (Sanskrit: योग मकरन्द​), meaning "Essence of Yoga", is a 1934 book on hatha yoga by the influential pioneer of yoga as exercise, Tirumalai Krishnamacharya. Most of the text is a description of 42 asanas accompanied by 95 photographs of Krishnamacharya and his students executing the poses. There is a brief account of other Haṭha yoga practices, asanas forming just one of the eight limbs of classical yoga, that Krishnamacharya "did not instruct his students to practice".

Yoga Makaranda - Wikipediaより引用

95枚の写真からなる42のアーサナの説明をした本であり若きクリシュナマチャリアの写真が写っています。アーサナにはいる前の直立姿勢のことを“サマスティティ”と呼ぶそうです。

これらのアーサナの起源は曖昧だそうです。理解しているものがそもそも少なかったため古代の叙事詩に登場する多くのアーサナをクリシュナマチャリアは頭の中で整理し指導していたそうです。

長女プンダリーカヴァッリー氏 当時の生活

  • 朝6時~8時半 ヨガの練習
  • 休憩と朝食
  • 11時~11時半 呼吸法
  • 昼食
  • 14時~ 庭で会話、弟子に講釈
  • 休憩
  • 15時以降 ヨガの理論と実践の指導
  • 17時~20時 道場
  • 帰宅後 読書
  • 夕食
  • 就寝前 読書 

当時送っていた生活だそうです。毎日2時間半の練習、そしてそれとは別に呼吸法の時間があり叙事詩の勉強と道場と読書、予定がぎっしり詰まっています。兄弟たちが会話している際にクリシュナマチャリアは弟子たちに古代の叙事詩を教えていたそうで食事は常に控えめだったとプンダリーカヴァッリーは言っていました。

クリシュナマチャリアの教育の価値観と階級 “ヨガは万人のもの”へ

長女のプンダリーカヴァッリーは父の教育の価値観についてこのように語っています。

「父は教育を財産だと考えました 知識は財産であり宝です そのため父はどんな人にも学びを勧めていました 知識は誰にも奪えません 金銭などの物質は盗まれても知識は教えない限り他者には渡りません それが父の考えでした」

映画『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』より引用

またクリシュナマチャリアはバラモン階級の出身だったこともわかりました。カースト制度については長くなりそうなので割愛します。

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1930年代のインドでヨガを学べたのは限られた人だけだったようです。クリシュナマチャリアはその壁を取り払い妻にもヨガを教えました。つまり女性も学ぶ権利があると考えヨガを“万人のもの”にしていったのです。

そして王の後援もあり知名度をあげていったクリシュナマチャリアは各地に弟子をつれてヨガの実演をすることでヨガを広めていったのです。

1947年インド独立後の道場とその後 科目としてのヨガ

1947年にインドが独立します。その頃州の財政上存続が困難になっていたクリシュナマチャリアの道場は突然閉鎖されました。一家は数年間庭の畑で生活しヨガの評判を聞いた人物からチェンナイに呼ばれます。

小さいアパートに住みながらそこで患者や生徒を受け入れ個人指導を行っていったそうです。そこで行われていたのが“命をつなぐヨガ”でした。そして息子達に講演させチェンナイでもヨガの普及に尽力していきました。

その後チェンナイの大学で初めてヨガが科目になります。科目になったヨガでは3つの目的を教えていたといいます。

  1. 健康な身体
  2. 健全な心
  3. 集中力を得ること

この3つがクリシュナマチャリアが教えた3つの目的だと言います。これを考えるとアシュタンガヨガの体→心→本当のヨガという流れはしっかりクリシュナマチャリアから受け継がれたものに感じます。

ヨガは他のスポーツと同じように練習はとてもきついものですが違う点がありそれは終わった後疲労しないと生徒の方が言っていました。

アーサナの起源と神話の関係について

クリシュナマチャリアはよく寺院を訪れたそうです。その寺院の神の名はヨガ・ナラスィムハという名前でその寺院の絵はヒンドゥー教の神話が描かれています。そこに初めて出てきたアーサナがありました。

神話やヴェーダの時代では神の取る姿勢をアーサナと言います 最初にアーサナをしていたのがこの神だったのです この絵では瞑想をしています

映画『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』より引用

 アイアンガーヨガ

クリシュナマチャリアからの解放

弟子でもあり同時に義弟でもあったアイアンガーは他の弟子より差別されていたといいます。師は他の弟子には何も言わないが自分には無理強いをすると。そしてそれをきっかけに肉離れを起こし治すのに2年かかったそうです。

前回に触れましたがプネーで指導するようにと言われたときは責任を感じつつも師から解放されたことが嬉しかったようです。

そして独自の理論を作り上げていきます。鏡もない状況で自分の感覚だけを頼りに知性を働かせどうしたら正しい感覚が生じるか試み続けました。

アシュタンガヨガ

アシュタンガヨガの目的

パタビジョイスアシュタンガヨガを作りその目的を以下のように述べています。

第一に体を浄化させることが目的です そして心の動きを滅しコントロールすることです 完全なる心の制御を目指します

映画『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』より引用

 つまり体を制御することで初めて心を制御することができるようになるといいます。そして到達には長年の練習が必要だそうです。そして心をコントロールできることが本当のヨガであると言っていました。

最後に学んだことと書きたいこと

2回に分けて記事にしましたが結構なボリュームになってしまいました。それではまとめていきます。

ヨガの起源は4000年以上前からあるといわれインダス文明の頃まで遡れるといいます。

しかし遡るほど情報は不透明になっていくため現代のヨガの流れを理解するためには近代ヨガの流れを掴むことが重要であると言えます。

1800年代後半から1900年代前半を中心にクリシュナマチャリアをはじめ現代のヨガの基盤を作った人がこの時代に集中しています。この映画でも主に焦点があたっているのは近代ヨガの部分でありその中のクリシュナマチャリアについてでした。

つまりこの映画だけでは近代ヨガのはじまりから現代への全体像は把握しきれません。しかし間違いなくクリシュナマチャリアはヨガの歴史において重要な人物の1人であるということです。彼の三男はこう言っていました。

「見た目には分かりませんが集中が深い状態へ その時には心が完全に平穏な状態です 最後は精神に集中し練習を終えます 宗教は関係なく魂がある場所を考えるのです 」

映画『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』より引用

そして練習を積み重ねることで自己の人生が見える瞬間があると言います。

体を制御し最終的には心を制御して本物の集中力を手に入れる。そしてそれは練習で誰もが手に入れることができる状態にしてくれたのはクリシュナマチャリアをはじめとした偉大な方々の活動があってのことなのですね。

以前に読んだ『自律神経をリセットする太陽の浴び方』という本の中で瞑想について触れる部分がありそのことと眉間に集中することが一致していました。スピリチュアルな部分だけでなく脳的にもどうなっているのか勉強してみるのもとても楽しそうです。

近代ヨガの起源の一部とヨガの目的を知れてとても面白い映画でした。良かったら是非観てみてください。長くなってしまいましたがお付き合いありがとうございました。

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聖なる呼吸 ヨガのルーツに出会う旅(字幕版)

予告編はこちら

www.youtube.com

 

前回の記事はこちら 

www.slpneet.work 

瞑想の部分は取り扱いませんでしたがその本から学んだ記事はこちら 

www.slpneet.work

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