『SECOND BEST』のグラハムとジェームズから父と息子を学ぶ
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父と息子の1つの形を学べる映画
結論としては父と息子の形に正解はないという曖昧なものになりますがこの映画から学んだ形は最後に書いています。
今回は『Second Best』のグラハムとジェームズから愛のある父と息子の1つの形を学びました。この記事は※ネタバレがあります注意してください。アメリカの映画です。基本的には平凡な家庭に育ち父からの愛がよくわからないまま大人になった40過ぎの中年の独身男性と父に愛されながらもその愛に縛られている少年が養子縁組として親子を目指しともに成長していく物語です。
グラハムとジェームズの父親との関係の対称的部分と共通する部分
グラハムが職員のマージェリーと自分から見た両親を話し合う25分くらいのシーンです。
マージェリー「あなたか見てどんな両親だった? 」
グラハム「いつも触れ合ってた 常に視線はお互いに向いていて 秘密の会話を交わしていた 常に触れ合っていた もちろん両親は私にも触れてくれた その点で不満はない」
マージェリー「いつ?」
グラハム「何が?」
マージェリー「いつ触れられた?」
映画『Second Best』より引用
成長するにつれてまるで触れなくなったことに気づかされます。そしてグラハムはそれが自分が両親を失望させたからだと思っていました。
そして母親が亡くなり父親がうつ病になり次第に年老いて不自由になっていくなかで自分と父親との間にいつの間にか距離があることが浮き彫りになっていきます。
一方ジェームズから見た父親は冒頭のシーンで扱われています。
ジョン「誰を一番愛してる?」
ジェームズ「パパだよ」
ジョン「約束だからな いいな」
ジェームズ「約束する」
映画『Second Best』より引用
おでこをくっつけながら愛を約束する父と息子は文字通り触れ合っていました。そして父は息子を過剰なまでに愛し、息子も父を愛していました。しかしジェームズの父は自首して刑務所に行き物理的に距離が引き離されます。
こう見てみるとグラハムは父と一緒に住んではいるが父からの愛に次第に触れられなくなり一方ジェームズは父と離れ離れになるが父からの愛に常に触れているそんな対称的な部分があります。
そして共通する部分はお互いが父と息子として何かが欠けているということでした。
少しずつ距離が近づく2人そして互いの葛藤
そしてジェームズに養子するために行動する中で1枚の写真をジェームズから渡されます。それはグラハムが忘れていた父との触れ合えた最後の旅行の思い出でした。そしてあれにまさる幸せはないことを思い出し思わず泣いてしまいます。そしてグラハムは父との向き合い方に変化が生まれました。
そしてジェームズは思わず泣いたグラハムを見て向き合い方に変化が生まれます。そして実際に家を訪れてみるのです。しかしそこの家の近くにはジェームズと実父ジョンを繋ぐ思い出の看板がそばにありました。そして部屋にはグラハムと父親との思い出の品がありました。
グラハムはジェームズの過去を知るためにいろいろな人を訪れていきます。そんな中ジェームズの母親の実家を訪れます。そこで写真の中の両親と父への愛を誓った名前入りのライターを見つけます。ライターとそして写真の父の部分だけ持ち帰るのです。やはりジェームズは実父との過剰な愛、約束を愛しながらもそれに縛られて生きているような感じがしました。
帰り道にグラハムの父のお見舞いに行くことを提案します。その病院でグラハムの父にグラハムとの思い出の品を渡すのです。しかしある夢の中で最高の幸せだった旅行が父にとっては演じていたことを知りそれが溝の始まりだったことを思い出します。お互い過去の父と息子の関係に縛られそれぞれ自分のやり方で克服しようとしているそんなシーンが続きます。
そして衝突して離れる心と少しずつ近づく選択の時
あるとき2人にそれぞれ手紙が届きます。それはジェームズの実父からでした。そして実父の手紙から弱みを見せると利用され捨てられることを思い出します。そしてついにグラハムとジェームズの互いの気持ちが衝突するのです。
グラハムはジェームズが実の父と会うために自分は利用されているのではないかと恐れていました、そしてジェームズは心を開きたいけれどやっぱり自分にとっての父親は1人であると。
たとえ刑務所に入るような人であろうと父親は1人だとジェームズは手紙から感じたのです。つまり父親らしいことをしてあげたいグラハムと父親は1人だというジェームズは互いに苦しみます。これをきっかけにまた2人の距離は離れてしまいました。そんなさなかグラハムの父が亡くなります。
そこに泣き崩れるグラハムの姿によりそうジェームズの姿はまさに母を亡くした時のグラハムの父とグラハムそのものでした。しかし異なる点があります。ジェームズはグラハムと触れ合い向き合い克服したのです。とても印象的でした。それはまさに二人が求めていた家族の形だったように感じます。
そしてある日家にジェームズの父親が訪れます。そこで病気で余命数ヶ月であることを明かされ人里離れたところで住むことを伝えられますが、グラハムはそれを断ります。一緒に家に住んで真実を言うべきだと決断するのです。優柔不断なグラハムが成長していたことが証明されたようなシーンでした。
選択の時
そして事実を知ったジェームズは脱走します。それに気づいたグラハムはすぐに探します。そして隠れたジェームズを見つけ出したグラハムは隠れるために掘った穴で共に横になります。ジェームズがグラハムにしたように今度は逆にグラハムがよりそい触れ合い向き合い克服したように僕は感じました。無言の帰り道で唯一グラハムが言った言葉です。映画の終盤のシーンになります。
グラハム「2番目になる気はない 家族になるなら父親と息子だ どうするか自分で決めろ」
映画『Second Best』より引用
そしてジェームズは実父との思い出の看板を「OPEN」から「CLOSED」にひっくり返しグラハムの手をそっと握り無言の返答をしました。
学んだことと書きたいこと
映画の中では家の中にはまだ実父もいるという生活が待っている状態で終わります。父親は1人だと言ったジェームズにとってグラハムの行動で考えが変わったように見えました。そして順位をつけるわけではなく心からグラハムを父親だと認めたように僕は感じました。
学んだこととしては愛がわからないけど家庭を知っていたグラハムが愛を知っているけど家庭を知らない少年とお互いを成長させて父と息子になったという解釈、つまり互いに足りない部分を気づかせて成長しあえる関係です。
ゆっくりと2人の成長が見られてとても素敵な映画でした。親子の形に正解なんかありませんが1つの形としてとても美しいと思います。独身男性の養子縁組は珍しいとか行き過ぎた愛情や歪んだ愛の形に注目してみても面白そうだなと感じました。よかったら是非観てください。
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