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『イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス』のデボラとレベッカからHeLa細胞を通してヘンリエッタ・ラックスを学ぶ

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ヘンリエッタ・ラックスの親族からみたHeLa細胞が学べる映画

『イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス』のデボラ・ラックスとレベッカ・スクルートからHeLa細胞を通してヘンリエッタ・ラックスについて学びました。アメリカの映画です。この記事は※ネタバレがあります注意してください。

基本的にはHeLa細胞の名前の由来になった原患者氏名ヘンリエッタ・ラックス氏とその親族の人生を娘のデボラ・ラックスとフリーランスのライターのレベッカ・スクルートと共にたどっていく実話に基づいた映画です。

ヘンリエッタ・ラックス氏について

まずはヘンリエッタ・ラックスについて調べてみました。これを読んで思ったことを素直に書いていきます。

Henrietta Lacks (born Loretta Pleasant; August 1, 1920 – October 4, 1951)[2] was an African-American woman[3] whose cancer cells are the source of the HeLa cell line, the first immortalized human cell line[4] and one of the most important cell lines in medical research.

Henrietta Lacks - Wikipedia より引用

ヘンリエッタ・ラックスは1920年8月1日生まれで1951年10月4日に亡くなったアフリカ系アメリカ人の女性です。彼女の癌性腫瘍から取り出された細胞が培養されHeLa細胞という世界で初めてのヒト培養細胞株として知られ医学研究っで最も重要な細胞株の1つとして様々な研究に大きな貢献をしています。

つまりヘンリエッタ・ラックスについて調べると常にHeLa細胞のことがついてまわるわけです。そして関心は世界で初めてのヒト培養細胞株という方に移っていきます。

この映画はヘンリエッタ・ラックスがどういう人だったのかをHeLa細胞がメインではなく彼女について描かれた映画なのです。

原作と著者レベッカ・スクルート氏について

映画にも登場するレベッカ・スクルート氏について調べてみました。

Rebecca L. Skloot /ˈskluːt/ (born September 19, 1972) is a freelance science writer who specializes in science and medicine.[2] Her first book, The Immortal Life of Henrietta Lacks (2010), was one of the best-selling new books of 2010, staying on The New York Times Bestseller list for over 6 years and eventually reaching #1.[3] It was made into a movie by George C. Wolfe, which premiered on HBO on April 22, 2017 and starred Rose Byrne as Skloot, and Oprah Winfrey as Lacks’s daughter Deborah.

Rebecca Skloot - Wikipedia より引用

最初にも少し触れましたがレベッカ・スクルートは1972年生まれのフリーランスの科学や医学を専門としているライターです。

2010年に最初の著作『The Immortal Life of Henrietta Lacks』を書きました。それがニューヨークタイムズのベストセラーリストに6年以上載って1位をとったとあります。さらに2017年の4月22日に映画になったわけです。この映画について今回は書いていきます。彼女は「ヘンリエッタ・ラックス財団」を設立しています。

Rebecca Skloot(参考サイト)レベッカ・スクルートのHPになります。

本については内容が被るので少しだけ載せておきます。ノンフィクションの本で邦訳は『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』(2011年、講談社)となっています。

The Immortal Life of Henrietta Lacks (2010) is a non-fiction book by American author Rebecca Skloot.

The Immortal Life of Henrietta Lacks - Wikipedia より引用             

 

不死細胞ヒーラ  ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

 

 

1951年HeLa細胞の誕生

HeLa細胞とは

1951年にジョージ・ガイ博士によって発見されました。

HeLa細胞(ヒーラさいぼう)は、ヒト由来の最初の細胞株。in vitroでの細胞を用いる試験や研究に幅広く用いられている。1951年に子宮頸癌で亡くなった30代黒人女性の腫瘍病変から分離され、株化された。この細胞の名称は、原患者氏名ヘンリエッタ・ラックスから命名された。

HeLa細胞 - Wikipedia より引用

 僕は医者でも学者でもないので詳しくはちゃんとしたところで調べてください。

Henrietta Lacksの名前から来てるのはこれで分かると思います。ではどんなことに活用されたのか映画の冒頭で紹介されたので簡単にまとめます。時系列順です

  • 1954年販売開始 生物医学産業の誕生 ポリオ・ワクチンの開発
  • 1965年 “遺伝学”
  • 1971年 “結核”“癌の研究”“白血病”
  • 1981年 “疱疹”“体外受精”
  • 1985年 “インフルエンザ”
  • 1988年 “エイズ”
  • 1989年 “パーキンソン病”
  • 1996年 “化学療法”“HPV”

のようにとても独特な始まり方でした。そして様々な単語のH・E・L・Aの文字だけ意図的に色を濃くしてたのも印象的でした。それだけこのHeLa細胞は影響を与えたということはそれだけお金も動いたということです。

1999年~ 

レベッカ・スクルートの動機

生物学の授業で不死細胞について知ったそうです。そこで彼女は黒人女性の細胞により医学が躍進したと学びました。

しかし細胞のことばかりで彼女自身については詳しく分かりませんでした。それ以来頭から離れませんでした。そこでモアハウス医科大学のパティロ先生を訪れ娘のデボラ・ラックスと連絡を取れるよう手配してくれないかと頼むのです。

そしてレベッカはヘンリエッタ・ラックスの人柄や人生について本を書きたいとデボラに伝えます。

デボラ・ラックスの動機

デボラは幼い頃に亡くなった母のヘンリエッタ・ラックスについて誰よりも知りたがっていました。兄弟もみな幼く記憶が曖昧であまりわからなかったのです。そんな自分の母について知れるかもしれないという思いからスクルートに協力していきます。

ラックス家の家系図と兄弟の想い

また登場人物が多くてややこしいので『聖なる呼吸法』のとき同様に画像作ってきました。

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制作すろまる (参考資料)映画『イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス』

つまり子供は5人います。そしてデボラと他の兄弟で考え方にすこし違いがありました。共通しているのは母の扱いにたいして現状に不満を持っていることです。デボラはお金ではなく母のこと、姉のことがとにかく知りたい、本当のことが知りたいという想いがとにかく強かったです。

他の兄弟はもちろんデボラ同様母を思いつつも病院の対応に納得がいかず金銭のことを考えている様子もありました。

グラディスとセィディー 1942年引っ越し

グラディスはヘンリエッタの姉妹にあたります、セイディーはいとこだそうです。そんな2人のところへ会いにデボラとレベッカは訪れます。

そこで聞けたのは若き日の母の話でした。今まで知らなかった母の記憶にとても心が躍っていました。ヘンリエッタは誰にでも平等に接していたといいます。

ヘンリエッタの家と墓

住んでいた家を訪ねると木製で床はワラでした。その裏にはヘンリエッタの母イライザ・プレザントのお墓がありました。ヘンリエッタが4歳の時に亡くなったようなので1924年のことになります。

そしてその近くの石の下にヘンリエッタと長女エルシーはいます。デボラは祈りを捧げていました。

長女エルシーについて

デボラはエルシーの写真を大事に持っていました。そしてセイディーから何故、精神病院に入れられたのか理由を聞きます。セイディーは以下のように述べていました。

セイディー「自分では何もできず ヘニーが全て世話をしてた 大勢の伝道師に祈祷してもらったけど 効果なし ある時 エルシーが通りの真ん中に走り出してね ヘニーは凍り付いたもんさ」

レベッカ「どうして入院させたの?」

セイディー「限界だったんだ 赤ん坊を2人抱えおなかにはザカリヤがいて どうしようもなかった 入院させた日にはひどい悲しみようだったよ」

映画『イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス』より引用

 姉の入院にやむを得ない事情があったみたいです。

出版においての意見の相違と兄弟間の意見の相違

取材を続けていくうえで出版してくれるところをレベッカは見つけます。しかし心に障害を持つ長女、前科のある三男、数々の疾患を抱え躁うつ病の二女と契約するなら家族は描かずに仕上げてくれと言われます。出版に求められているのはHeLa細胞の部分ばかりなのです。

意見の相違から契約を解消します。あくまでヘンリエッタとその家族について書くのが目的だからです。

また兄弟間でも意見が食い違ってきます。デボラはヘンリエッタを知るためにホプキンスの病院に行こうと考えていました。しかしソニーやローレンスは病院の対応に未だ納得できず意見が食い違います。

そしてある疑惑がレベッカに向けられてしまうのです。それはレベッカは誰かから資金をもらっていたり病院の回し者なのではないかという疑惑です。

衝突するデボラとレベッカ 心が壊れた理由

兄弟たちに言われ疑いをもったデボラはレベッカに確認をしにいきます。そして数々の疑惑をぶつけたところなんとか証明します。

  • いつか財団を作ろうと考えている
  • 誰からも金銭は受け取っていない
  • カードの支払いが2000ドル滞ってる
  • 口座に87ドルしかない

何故ここまで疑いを持っているのかにはある理由がありました。それはレベッカが取材にくる直前のことです。詐欺師が弁護士を語り家族を騙したのです。ずっと虐げられて生きてきたラックス家にとって彼が救いに見えてしまいました。

そして気づいたころには逆に裁判を起こされてしまったのです。悲しくもその資料の中で初めてエルシーが亡くなった病院を知りさらに母の写真と検視報告を見てしまいます。それがデボラの心を壊しました。

デボラは偏執症、統合失調症、不安神経症に苦しめられたと言います。実際に映画内でも躁うつ病のように心にものすごく波がある様子が描かれています。

母ヘンリエッタの医療記録はデボラにとって形見であり数少ない心の支えになっていたのです。

クラウンズヴィル・ホスピタル・センター

デボラとレベッカはその資料にあったエルシーがなくなった病院を訪れます。とりあえず調べてみました。

The Crownsville Hospital Center is a former psychiatric hospital located in Crownsville, Maryland. It was in operation from 1911 to 2004.

Crownsville Hospital Center - Wikipediaより引用

 1911年~2004年まで稼働していたメリーランド州にあるクラウンズビル・ホスピタル・センターという精神病院です。

そして下の方をしらべていくとある部分を見つけました。

Elsie Lacks (born Lucille Elsie Pleasant) was the second-born and eldest daughter of Henrietta Lacks, who was the source of the famous HeLa cell line. Elsie was institutionalized here for epilepsy until she died in 1955 at the age of 15.

Crownsville Hospital Center - Wikipediaより引用

エルシー・ラックスについての記載があります。1955年15歳でなくなるまでここにいてHeLa細胞で有名なヘンリエッタの長女であると。入院理由については映画と少し違いがありそうなのでここでは割愛します。

この病院は1963年まで黒人専用だったそうです。当時この病院ではアスベスト汚染が発覚し悲惨な状態だったと言います。数少なく残っていた検視報告からエルシーの記録を見つけます。そこにはエルシーの写真が残っていました。

衝突するデボラとレベッカ 2回目 暴走

病院から戻った2人は100ページ以上ある資料を調べ始めます。しかしその内容は聞くに堪えないものもたくさんありました。エルシーの検視報告書に残っていた写真の理由、その意味を理解しデボラはまた不安定になります。

レベッカと再び衝突してしまうのです。そして限界にきたレベッカもデボラに対してきつい言葉をぶつけてしまいました。

翌朝反省した二人は仲直りをします。そしてこの衝突は記録に残すよう約束しました。まるで躁状態に入ったかのようにつぎつぎとアイディアを出しながら猛進します。ヘンリエッタの墓にエルシーとヘンリエッタの資料をもって3人が揃いました。

そんな時デボラは幼少時代の記録を鮮明に思い出すのです。ヘンリエッタが亡くなった後子供たちはエセルという女性に引き取られます。

しかし彼女は子供たちを憎んでいたそうです。そしてその中でも三男のザカリヤが暴力を受けるなどの虐待を受けていたそうです。またエセルの夫のエレインからデボラは暴行を受けていたと言います。

セイディーに救いを求めるまでこの生活は続いたようです。そしてこんなことがなければザカリヤはもっと優しい子になったはずだと嘆きます。

妄想と事実で壊れた心に神からの言葉で落ち着かせます。

セイディーとデボラ 告白と母の愛

デボラが目を覚ました時セイディーは近くで見守っていてくれました。そしてヘンリエッタから癌の告白をされたときのこととヘンリエッタの愛のことを話します。とても印象的だったので紹介します。1時間20分くらいのシーンです。

セイディー「ヘンリエッタ『約束して 子供たちを守ってちょうだい 特にデボラのことを ほんとは髪を結い可愛い服で着飾らせてマニキュアの塗り方や男性の扱い方も教えたかった』」

セイディー「ヘニーは朝 目覚めればお前のことを考え眠りにつく時にはお前のことを神に祈ってた」

映画『イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス』より引用

母からとても愛されていたことを知ったデボラは落ち着きを取り戻します。そして母が訪ねた病院に向かうのです。

ジョンズ・ホプキンズ病院

デボラとレベッカは病院のクリストフを訪ねます。そして遅れてザカリヤも合流しました。クリストフは長年HeLa細胞を使って研究してきたそうです。

1951年にヘンリエッタが訪れた場所に約50年の時を経てデボラとザカリヤは母に会いに来たのです。デボラの母はこう想ったのではないだろうかと想いながら病院を歩く姿は何とも言えませんでした。

そして初めて母の細胞を見て母に語り掛けます。

デボラ「 母さんは有名人よ それを誰も知らないだけ」

映画『イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス』より引用

 顕微鏡で観察し映し出された母とデボラ、ザカリヤが1つになる瞬間はやっとわからなかった家族の繋がりを2人なりに見つけた瞬間のように感じました。

2010年(2009年)~

そして出版へ

デボラ・ラックスは2009年5月12日出版される前に亡くなりました。

2010年『The Immortal Life of Henrietta Lacks』は約6年もの間ベストセラーとなりレベッカは「ヘンリエッタ・ラックス財団」を同年創設しました。 

The Immortal Life of Henrietta Lacks

The Immortal Life of Henrietta Lacks

 

 日本語版はこっち 

不死細胞ヒーラ  ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

 

書きたいこと学んだこと

まずHeLa細胞という存在を初めて知りました。その細胞が医学に与えた影響の凄さに本当に驚きました。

ただ僕は医者でも学者でもないので細胞としての偉大さはそこまでわかりません。

ですがこの細胞には1人のアメリカ人ヘンリエッタ・ラックス氏とその家族達の歴史がありレベッカ・スクルート氏のおかげで今回僕は知ることができました。

自分の家族のことや家系のことは学生の頃にすこし調べたことがあるのですがそういうものの大切さを思い出させてくれる作品でもありました。この映画を作ってくださってありがとうございました。

今回あえて画像を使っていません。

レベッカ・スクルート氏のHPで本等に載っていない写真を閲覧することができます。映画に出てきた細胞の写真や顕微鏡を覗く姿、クラウンヴィルズ・ホスピタル・センターの空の棚、CLOVERのヘンリエッタの家や墓等たくさんの写真を見ることができます。

Rebecca Skloot(参考サイト)レベッカ・スクルートのHPになります。Book Special FeaturesのMoreのところを押すことで画像が見れます是非見てみてください。

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イモータル・ライフ・オブ・ヘンリエッタ・ラックス (字幕版)

予告編はこちら

www.youtube.com

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