『シークレット・オブ・モンスター』のプレスコットから心の歪みを学ぶ
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心の中の怪物の生まれ方が学べる映画
『シークレット・オブ・モンスター』のプレスコットから心の歪みを学びました。イギリスとフランスとハンガリーの合同制作映画です。この記事は※ネタバレがあります注意してください。今回はプレスコットの心に焦点をあてて観ました。
基本的に1918年にアメリカ人の男がヴェルサイユ条約締結するため政府から派遣され家族を連れてフランスにやってきます。その息子プレスコットの心がどんどん歪んでいき“独裁者”というプレスコットの中の怪物が生まれていきます、幼少時代に重点がおかれている話です。
ヴェルサイユ条約と簡単な時代の流れ
この映画の時代背景は第一次世界大戦の講和条約であるヴェルサイユ条約が結ばれる時期になっています。まずヴェルサイユ条約とは何なのか調べてみました。
ヴェルサイユ条約(ヴェルサイユじょうやく、仏: Traité de Versailles)は、1919年6月28日にフランスのヴェルサイユで調印された、第一次世界大戦における連合国とドイツ国の間で締結された講和条約の通称。
正文はフランス語と英語であり、正式な条約名はそれぞれフランス語: Traité de paix entre les Alliés et les Puissances associées et l'Allemagne、英語: Treaty of Peace between the Allied and Associated Powers and Germanyであるが、ヴェルサイユ宮殿の鏡の間(英語版)で調印されたことによって、ヴェルサイユ条約と呼ばれる。
ヴェルサイユ条約 - Wikipedia より引用
簡単にしか触れませんが冒頭の「序曲」でウィルソン大統領や第一次世界大戦の映像が流れます。簡単に時代の流れだけ書いておきます。
- 1914年第一次世界大戦が勃発
- イギリス、フランス、ロシアの連合国とドイツと同盟国が戦います
- 1917年4月アメリカが連合国側に参戦します
- 1918年11月11日ドイツが降伏し連合国と休戦協定が締結
- 1919年1月18日パリ講和会議が開始します
そしてこの条約を結ぶためにフランスに来ることになるわけですがあくまでも今回はプレスコットの心に焦点をあてたいので詳しく知りたい人は調べてください。
映画の構成とプレスコットの不可解な行動
- 序曲
- 最初の癇癪“来るべきものの予兆”
- 第2の癇癪“新しい年”
- 第3の癇癪“1頭のドラゴン”
- “新しい時代あるいは私生児プレスコット”
という5つに分かれていました。
プレスコットは映画を通して数々の不可解な行動をし癇癪を起します。僕が気づいた中では以下のものがあります。
- 教会の大人たちに石を投げつける
- 髪を切ることへの異常な抵抗を見せるも女性と間違われると感情的になる
- 空腹と言いつつもご飯を食べない
- 突然アデレイトの胸を触る
- 父親の会議の最中に性別を間違わられほぼ裸で歩き回る
- アデレイトとの勉強を断るも個人で猛勉強をし成果を出す
- 服を脱ぎ鏡の前で腕を回す
- 祝賀会の席で祈りを求められ大勢の前で“もう祈りを信じてない”と連呼する
- 石で母を殴りつけて逃げ回り倒れる
これらのシーンを考えながらプレスコットの心が歪んでいったのは何故なのかを考えていきたいと思います。
プレスコットの心を歪めたもの
とある勉強の日に直接的な描写はないですがフランス語を教えてくれているアデレイトと父に関係があることを察知します。食事の際にそれとなく聞きますが上手く父親にかわされます。
そして母とチャールズのどこかぎくしゃくした関係。そして母親がチャールズに対して手紙を送ります。
後に触れますがプレスコットにとって理解者はモナだけに見えました。許しを求めるも容赦なくモナを切り捨てた母に対して心を閉ざします。
部屋に閉じこもり服を着ないプレスコットに対して父親は無理やり服を着せヴェルサイユに連れて行き祝賀会に参加させます。
唯一の理解者モナ
映画内でプレスコットの理解者はモナだけのように僕には見えました。
休みから復帰し飛びつく、残した食事を変わりに食べてあげたり廃棄する、彼が寝る時髪を触り額にキスをしても嫌がる様子が見られない、部屋に閉じこもるプレスコットに食事と頼まれた本を与えます。そしてそれがきっかけでモナは屋敷を追い出されることになります。その時プレスコットは怒り母を突き飛ばし悲しむ姿を見せます。
行き着いた一つの答え
彼は大人という存在が徐々に信じられなくなっていきます。
父とアデレイトの関係を察知し、アデレイトを屋敷から追い出すために彼は勉強をしました。母とチャールズとの関係もプレスコットなら感じ取っていたでしょう。
そして唯一の理解者モナまで母によって奪われます。つまり大人達を信じることができなくなっていったのです。
その大人たちが信じている祈りを信じることはプレスコットには出来ませんでした。信じていない人たちが信じていることを信じれないということです。
そんな思いは小さい子供のプレスコットの体には入りきらないほどの感情が詰め込まれたわけです。そして歪んだ形として現れます。
最後の章の名前からもわかるように私生児プレスコットとあります。そこから推測するにプレスコットの父親はチャールズだったのではないでしょうか。
そして独裁者としてのプレスコットが生まれたのです。
学んだことと書きたいこと
子供は大人が思っている以上にいろんなことを察知していていろんなことを考えているのだろうなと改めて思いました。
そんな中で受け止めきれない溢れだした思いがいつの間にか心を壊していくのだなと。
周りが何をしても止まらなかったのか、それともできることはあったのかそれは分かりませんがただ人の心を歪めるにはじゅうぶんすぎるほどの光景がそこにはありました。
興味がある方は是非観てください。複数回観ることによってちょっとずつ謎が解けていくような映画になっていると思います。僕は一応3回観ました。
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